改革派・長老教会ってなに?


 改革派・長老教会は16世紀の宗教改革者ジャン・カルヴァンにその端を発したプロテスタントの一派です。自らを長老教会と呼ぶ教会と改革派教会と呼ぶ教会がありますが、言い方が違うだけで基本的には皆同じです。み言葉によってたえず改革され、長老制度を教会組織にとりいれているところからこの名称があります。これらを総称して一般名詞として改革長老教会と呼ばれることもありますが、固有名詞として改革長老教会と称する一派もあります。ルター派、再洗礼派、英国教会とならび、16世紀の宗教改革によって生まれたプロテスタントの4大潮流のひとつです。

ジャン・カルヴァンジャン・カルヴァン

歴史的な話
 改革派・長老教会は誕生時からプロテスタントの中心的な存在で、ジュネーブからフランス、ドイツ、オランダを経て、東ヨーロッパ、イギリス、北アメリカへと急速に発展していきました。ヨーロッパ大陸では、長老制度をとりいれていったカルバン派教会を改革派教会とよびましたが、イギリスや北アメリカでは長老教会とよばれました。
 アメリカには1640年代に、イギリス人の移住者によって伝えられ、後にスコットランド人や北アイルランド人によって多くの教会が設立されました。改革派・長老教会はアメリカでもっとも有力なプロテスタント教会のひとつとなりました。
 日本には明治にアメリカから伝えられ、横浜海岸教会(今の日本キリスト教会横浜海岸教会)が日本で最初のプロテスタント教会として設立されました。改革派・長老教会によって設立された学校には、東京の明治学院や金沢の北陸学院、仙台の東北学院宮城学院、横浜のフェリス女学院、名古屋の金城学院、大阪の大阪女学院、山口の梅光学院、香川の四国学院などがあります。

教会の特色
 改革派・長老教会のもっとも大きな特徴は、礼拝を大切にするということでしょう。その中でもみ言葉と聖礼典を大切にしています。
 み言葉は礼拝の中での聖書朗読と説教です。「み言葉によって改革され続ける」という言葉がこれを最もよく言い表しているでしょう。
 聖礼典には洗礼(幼児洗礼を含む)と聖餐があります。
 礼拝に招かれた喜び、主の食卓を兄弟姉妹とともに囲むことのできる喜び、これらの恵みの中で毎週日曜日にわたしたちは命のパンとしてのみ言葉をいただいています。礼拝に招かれて、神様と契約(洗礼)をしたしるしとしての聖餐を受けることによって、わたしたちはみんな神様の愛を豊かに感じています。もちろん礼拝にはまだ洗礼を受けていない人も招かれて来ています。そのような人たちが聖霊なる神の導きによってその信仰を告白して神様の救いの契約に入って、礼拝の中で一緒に主の食卓を囲むことのできる日が来るように、クリスチャンはみんな祈っています。え、神様の救いの契約って何かですって?牧師は毎週毎週礼拝の中でそれを喜びをもって語っていますから、ぜひ礼拝に来てそれを聞いてください。
 二番目の大きな特徴は、信仰告白を大切にするということでしょう。
 神とは何か、教会とは何か、信仰とは何か、これらをまとめたものが信仰告白です。聖書はさまざまな解釈が可能です。しかしそのさまざまな解釈を放置していたのでは、キリスト教はすぐに個人個人によって違うばらばらの方向に向かっていくでしょう。神様をも自分たちの都合のよいように利用してしまう私たち人間ですから、キリスト教はその初期から異端との戦いでした。私たちの信仰が神様の本質から外れないこと、そのために信仰告白という規範があります。2000年の間、そしてこれからも私たちが道を外れないためのナビゲーターです。
 三番目は、会議と教会規則に則って教会が運営されるということです。これについては次の項で。

教会の運営
 教会の運営は牧師(宣教長老とも呼ばれます)と信徒から選挙で選ばれた一定数の長老(治会長老とも呼ばれます)から構成される長老会(小会とも呼びます)によって行われ、会議で物事を決めるという特徴を持ちます。一つの教会がいくつか集まって中会を形成し、牧師の任免や教会の建設など、重要事項を決定します。さらにいくつかの中会が集まって大会を形成し、その上に全国総会があります。本来的には中会を教会とし、一つの中会が複数の場所で礼拝を守るということになります。
 「長老」はカルヴァンが考えたわけではなく、聖書にその起源と根拠をもっています。新約聖書にはいくつもその記述があるからです。
 教会の運営方法(教会政治の形態と我々は呼んでいますが)的に教会を分類すると、長老教会以外に、監督教会と会衆派教会があります。ローマカトリック教会や英国教会(日本では聖公会といいます)、メソジスト教会の一部は監督教会であり、牧師・神父の中に監督をおいてその中にピラミッド型の階級構造を持っています。組合教会やバプテスト教会は会衆派教会です。
 私たち長老教会に属する者は、監督教会と会衆派教会の生まれ育った歴史的、社会的必然性を認めつつ、しかし長老制を最も欠点の少ない制度と理解し、これによって教会を運営していこうと願っている者です。もちろん私たちは監督制や会衆制の教会を否定しているわけではありません。ともに神様から恵みを受けている兄弟姉妹であることに間違いはありません。
 まあ、キリスト教会の歴史は魔女狩りに代表されるように、過ちの歴史も含んでいるわけで、一人一人は過ちを犯しやすい弱い存在だけれど、組織としての教会が過ちを犯さないために長老制度というのはいいシステムかなと私は思っています。また、そのときそのときで判断がぶれてしまわないように教会規則をそれぞれの教会は定めています。
 ただ、長老教会の「代議制」は世間一般の代議制とは異なります。世間一般の選挙のようにみんなの意見を代表してくれる人として選ばれるのが長老ではありません。私たちの主イエス・キリストのみ言葉に仕える職務にふさわしい人として長老は選ばれます。ですから、社会的地位とか裕福さなどはいっさい考慮されません。
 長老会議が会社の役員会や町内会の役員会と大きく違うのは、聖霊なる神の臨在を祈り求めて会議をはじめること、何が得かとかわれわれにとって都合がよいのはどれかではなくて神様の御心がどこにあるのかを議論を通して捜し求めようとしていること、その決定には聖霊なる神様のご意思が働いていると信じていることです。
 もちろん不完全な人間が行っている会議ですから、後から考えると人間の目から見て間違った決定を下すことも少なくないかもしれません。しかし人間が犯す過ちをも含めて神様は教会を司っておられるのだなと、思います(上の魔女狩りの話と矛盾してる?)。
 したがって、教会を教会たらしめる権威が監督にあるとするのが監督制、長老会にあるとするのが長老制、全会衆にあるとするのが会衆制というのが、簡潔で正確な言い方でしょう(でもちょっと難しい言い方かな)。


参考文献(全部読んだわけではありません)
改革長老教会Q&A 日本基督教団改革長老教会協議会
改革派教会の伝統 JHリース著 吉田信夫訳 新教出版社
教会双書3信仰告白 全国連合長老会
教会双書4キリスト論の発生 竹森満佐一・山本菊子共著 全国連合長老会
教会双書6教会の制度 藤掛順一著 全国連合長老会
教会の信条と聖書 日本基督教団改革長老教会協議会
信仰告白を規範とする教会形成 日本基督教団改革長老教会協議会
信徒のための改革教会の教理 藤掛順一著 全国連合長老会
長老教会-その歴史と信仰- ウォルター・L・リングル著 上河原立雄訳 聖恵授産所出版部
長老教会の手引き 全国連合長老会
長老主義 GDヘンダーソン著 アバーデン大学出版部 大隅啓三訳
よくわかるキリスト教の教派 今橋朗・徳善義和共著 キリスト新聞社

このページは小松教会長老の田畑が書きました。「分かりやすく」ということを念頭において書いたため、厳密な正確性は欠いているかもしれません。ただし間違ったことを書いているようでしたら、お教え下さい。また、助けてあげよう、という方はどうぞメールをください。

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